2011年6月6日月曜日

アリ組加工

引き出し付きスツールを製作中。
実はかなり納期を待ってもらっていて、大変申し訳ない思いで作っている。


デザインは、前の椅子に続いてmonokraft.。
自分ではなかなかやらない加工や構造を要求されるから面白い。デザイナー自身が相当研究しての要求だから、応えたくなってしまう。

本体。良く見ると変わった構造だけど、詳しくは別の機会に。


引き出しはアリ組に。
量産工場のようにダブテールマシーンなんてないから、コツコツと。

できるかぎり機械加工で。

側板。

向こう板。
先に加工した側板に合わせて加工する。
機械は真っ直ぐ切るだけ。角度定規を正確に作り、機械のストッパーをセットするのは人間。
0.1ミリ程度の精度で加工している。ストッパーを金槌でトンと叩いたり、紙一枚挟んだりして調整。
若いころは仕口が空くのを恐れてキツめにしがちだが、接着剤を入れて組み立てる時に地獄を見たりする。きつくて締められなかったり、割れたり、締めすぎて材がつぶれたり。
ピッタリがいいのだ。手で入れて、スッと入るくらいが。


向こう板は通しアリ、前板は包みアリ。仕口が違うところがやりがいがある。ダブテールで加工するとこんな感じで終わりなのだが、僕のほうはオーソドックスな仕口にしなくては。

胴つきをルーターで加工。
最後はもう手加工しかない。まずは墨付け。

手のみで仕上げ加工。


アリは角があって、普通ののみでは削れない。だから、のみの横を削ぎ落して使うのだ。

できた仕口。キレイでしょ?


仮組み。
前板と向こう板。



ホントに楽しい。


でも時間はかかっちゃうけど。

サイトーさん(僕の師)の、「引き出し3杯くらいにいつまでかかってんのよ」って声が聞こえてきそうで。

「いや、かかるんだって」って、心でつぶやいたり。


こういうかっちりしたいい仕事は、あんまり時間に追われたり、夜遅くにやるものじゃない。
さらに言えば、自分の集中力が一番高まりやすい時間帯にやるべき。僕なら、10時ころから15時までが最もコンディションがいい。


実は、家具屋ってどこでもこんなに楽しい家具製作をやっているわけではない。
だからやっぱり、感謝して楽しんで、いいものを作らないといけないなと思う。

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