2011年5月30日月曜日

やっぱりカッコいい

昨日の椅子、座も組み込んで仕上げた。

やっぱりカッコいい、惚れ惚れする。

デザイナーはmonokraftの清水さん。人柄も素晴らしく、アコガれる。


なんだかとてもうれしくて、単発で一脚だけの椅子の製作は採算面で非常に厳しいのだが(たぶん工房レベルではどこも受けないと思う)、製作させてもらうことにした。しかも納品先が、故郷茅ケ崎ということで俄然ヤル気が出たのだ。




サイドシルエットも美しい。
平面を立ち上げて、立体を想像するというデザインプロセスは僕も共感する。

シルエットは簡素で、シンプルな直線で構成されているが、造形は非常に複雑。
この背脚と背、肘のジョイントは製作は至難だ。フレームは細いし、角度は一方向だけではないし。仕口加工はギリギリを攻めていく感じ。キンキンに気持ちが集中していく。


内側から見たところ。我ながらシビれる。



この前足と肘の造形も、一筋縄ではいかない。
それぞれの元から、肘の先に向かって角の面取りが大きくなっていく。つまり、全体のシャープ感を保つために面取りは小さめなのだが、座ってさわる肘の先は手にやさしいようにしているのだ。
設計者の、使用者への思いやりが感じられる。

しかし話は簡単だが、製作サイドは大変だ。
機械加工では、決まった径の刃物が移動して切削する、つまり、真っ直ぐに同じアールしか取れないのだ。徐々に径を大きくするためには、機械加工ができない。

ということは、手加工しかない。
面の大きさの墨をして小鉋で削り、サンドペーパーで均す。



座は薄い引き板を3枚で。板がしなって柔らかい。
実はこの座も、いろいろ仕込みがあってすぐには終わらない。丸一日くらいは時間を要する。




昨日は仲間が4組くらい工場に来たが、椅子、しかも特注で椅子をやっている人はいない。
椅子作りは本当に苦労が多いし、身入りが少ないから、この楽しさを味わっているのは産地旭川といえども多くはない。
だから、こうやって椅子の依頼を受けること、しかも優れたデザイナーの図面に向き合って製作させてもらえること自体、大変に幸せなことだと思う。


1 件のコメント:

  1. こんにちは、やっと農作業がひと段落して、またゆっくりブログを拝見しています。

    本当にうっとりするような椅子!家具の素人から見るとさっぱりしているのにどこか品があるという印象ですが、こだわりの部分部分を紹介していただくと、そういう隙のない設計?製作?が全体像を作るのだとあらためて感心します。ビューティフルなものは、全てに神経が行き届いているんだなぁと思いました。

    すわり心地はどんな感じですか。

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