2011年7月27日水曜日

斎藤さん

昨日、斎藤さんが来た。

前に勤めていた会社の工場長。僕が退社前に、もう退職したのだが。

つまり僕の師匠。
なにより大好きな人だ。


そんなサイトウさん、僕にとって入社当時からしばらくはクソオヤジだった(失礼!)。
入社時は技能五輪の練習で仕事が半分しかできなかったのが気に入らなかったのか。

だいぶイジメられた記憶がる。


おれは息子に手を挙げたことは一度しかない

って言っていた彼。僕は数度はたかれた。



数年過ぎたある時、サイトウさんに円形ハゲができた。本人、ハゲできたハゲできたと言って笑っていたが。

正直、僕は大変なショックだった。
絶対仕事だなと思った。
サイトウさんはとにかく仕事の早い職人で、いつも自身に満ちていてとても強い存在だった。

僕は限られた人生、ゆっくりしている暇は無いし、とにかく早く何でも仕事をやらせてほしくてサイトウさんにぶち当たっていた。サイトウさんは唯一、時には社長ともバトルする人物だったから揺るぎない人だと思ってしまっていたんだ。

でもそうじゃなかった、苦しんでいたんだと思って。


その後、僕はとにかくサイトウさんを補佐しようと思うようになって。

そして2年間くらいだろうか、サイトウさんと組んで大手メーカーの特注品をバシバシこなしたんだ。
一番楽しかった頃だ。

スピード感があって。まさにぶっ飛ばすようなスピードのサイトウさんに張りあいながら仕事する緊張感。

間近で見ていると、すごいところが沢山わかってくる。
初めて見る図面でも、その理解力は驚異的だった。

十数人の特注工場だから、いくつもの仕事が同時に流れている。すごく細かい納まりの確認も、図面も見ずに指示をだし、見逃しそうな間違いも誰より早く発見する。

仕事のまかせ方もカッコよかった。いろいろな確認が必要だったりややこしかったり、面倒だったりってことほど自分でやっていた。
仕事の割り振りをする立場だからこそ、そういう仕事を自分でやらなきゃついてこないだろって。

そう、いつの間にか彼の息子に嫉妬するくらい敬意をもったんだ。


サイトウさんの下で仕事をさせてもらえたことは大きな財産。

もうホトケみたいになってトンガリも消えたサイトウさんが、こうしてちょくちょく工場に遊びに来てくれることは本当にうれしいんだ。




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