2011年7月29日金曜日

小箱

チェリーで小箱を製作。


玄関先で、鍵などの小物をしまっておく箱。
目につくところなので、些細だけども品の良い、質感のある美しいものにしようと思い設計。ただ、チェリーだけは決めていた。



もちろん本体と蓋、四周ずっと木目を合わせて。





蓋を開けたらドキッとするほど鮮やかな青。

鍵など金属を直接置くことになるし、メラミンを使用。
また、全て無垢材もいいが少しハズしたかった。総無垢と思わせて蓋を開けたら意外な驚きを演出したくて。






こんなものは、小さい割に手間も多いので高価になりがち。
でも僕自身がとても楽しんで製作できる。

納期さえ指定されなければ、手すきの時に特注製作します。
趣味のもの入れなど、木箱に贅沢をしてみてはいかがですか?

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2011年7月28日木曜日

札幌へ

札幌へ出張し、今帰ったところ。


今日は本当にいい天気。北海道とはいえ、暑い暑い。

そんな暑い中、僕のハイエースは相変わらずエンジン不調。
水温計が振り切れるので、ネットで得た情報によりヒーター全開。なんでもヒーター入れるとエンジンに風が当たるから冷えるのだとか。

北海道の真冬でも利きすぎる程のヒーターを全力で、窓を開け切って汗だく時速60キロ走行。
一人我慢大会、忍耐力を養うにはちょうど良い。




仕事は、以前納めたテーブルの脚を切って低くすること。
何度もお世話になっているお客さん。なんとか要望に応えたくて。

久々に再会したテーブルは非常に状態がよく、丁寧に愛されているのがよくわかる。


札幌の仲間 KANTOさんに工場を借りて。
彼とも久しぶりに会い、個展の準備中とのことで大いに刺激を受けた。




なんだろ。すごく楽しいな。





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2011年7月27日水曜日

斎藤さん

昨日、斎藤さんが来た。

前に勤めていた会社の工場長。僕が退社前に、もう退職したのだが。

つまり僕の師匠。
なにより大好きな人だ。


そんなサイトウさん、僕にとって入社当時からしばらくはクソオヤジだった(失礼!)。
入社時は技能五輪の練習で仕事が半分しかできなかったのが気に入らなかったのか。

だいぶイジメられた記憶がる。


おれは息子に手を挙げたことは一度しかない

って言っていた彼。僕は数度はたかれた。



数年過ぎたある時、サイトウさんに円形ハゲができた。本人、ハゲできたハゲできたと言って笑っていたが。

正直、僕は大変なショックだった。
絶対仕事だなと思った。
サイトウさんはとにかく仕事の早い職人で、いつも自身に満ちていてとても強い存在だった。

僕は限られた人生、ゆっくりしている暇は無いし、とにかく早く何でも仕事をやらせてほしくてサイトウさんにぶち当たっていた。サイトウさんは唯一、時には社長ともバトルする人物だったから揺るぎない人だと思ってしまっていたんだ。

でもそうじゃなかった、苦しんでいたんだと思って。


その後、僕はとにかくサイトウさんを補佐しようと思うようになって。

そして2年間くらいだろうか、サイトウさんと組んで大手メーカーの特注品をバシバシこなしたんだ。
一番楽しかった頃だ。

スピード感があって。まさにぶっ飛ばすようなスピードのサイトウさんに張りあいながら仕事する緊張感。

間近で見ていると、すごいところが沢山わかってくる。
初めて見る図面でも、その理解力は驚異的だった。

十数人の特注工場だから、いくつもの仕事が同時に流れている。すごく細かい納まりの確認も、図面も見ずに指示をだし、見逃しそうな間違いも誰より早く発見する。

仕事のまかせ方もカッコよかった。いろいろな確認が必要だったりややこしかったり、面倒だったりってことほど自分でやっていた。
仕事の割り振りをする立場だからこそ、そういう仕事を自分でやらなきゃついてこないだろって。

そう、いつの間にか彼の息子に嫉妬するくらい敬意をもったんだ。


サイトウさんの下で仕事をさせてもらえたことは大きな財産。

もうホトケみたいになってトンガリも消えたサイトウさんが、こうしてちょくちょく工場に遊びに来てくれることは本当にうれしいんだ。




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2011年7月25日月曜日

手紙

今日、手紙が届いた。

まさかと思ったが。
やはり、中学校の恩師だった。

僕は中学の3年間、彼女が担任だった。
兄と妹は僕と3学年違い。ちょうど入れ替わりでお世話になり、兄、僕、妹で木村家は5年連続で同じ先生が担任だった。

その5年間の初めのほうで父が死に、先生はかなり我が家の事を気にかけてくれていたと思う。


僕は、学業という意味では恩返ししなかった。
中学ですでに大学進学の意志は薄く、ものづくりの世界にあこがれていたから。

でも僕はもう学んでいたのだ。
誰のためなのか、何かを我慢して、苦しみながら働き、生きていく事は不幸だ。
不幸では家族を本当に幸せになんかできない。

自分のために、好きなことを全力で精一杯やっているからこそ、自分も家族もシアワセに導けると思っていた。


北海道に渡る時も、多くは否定的だったように思う。
でもそれはもちろん、僕の未来を心配してだ。

でも僕が見送る方ならば、簡単に負けて帰ってきたら残念に思うと思う。

だから僕は、普通以上の結果も持って茅ケ崎に帰ろうと必死だった。
25くらいの時に、旭川の訓練校の先生が入学ころの事を思い出して、

お前は地元に錦の御旗をもちかえるんだというばかりにギラギラしていた

と言われたことがある。
まさにそんな気持ちだった。
そしてそれが、それまで周りにいてくれた人たちを喜ばす最良の方法だと思っていたんだ。


柔軟な強い意志を持つ

というのは僕の信条のひとつ。だから、ある程度は流れに任せて生きてきた。

そして今がある。
多くの人に知ってもらいたくて情報発信を心がけている。

本当に仕事はまだまだ利益を上げるどころじゃなく厳しい経済状況だし、大変な助けを受けている状態だけど、それでも十数年間家具作りだけに集中して独立し、仕事をこなしていることを報告したかった。

僕の方から報告しないといけなかったのだけど、こうして先生から手紙をもらえたことはとてもうれしい。しかも、なんと先生も教員を退職し、花農家として独立していたらしい。http://slec.farming.officelive.com/misawa.aspx

何といっていいのか、同じものづくりの道を歩んでいるということが本当に感慨ふかくて。


今度地元に帰った時は、きっと訪ねて行こうと思う。
いつか必ず、地元で展示会はやりたい。その時はぜひ、先生の花で会場を飾りたいな。

しかしまずは、僕も手紙を書かないとだな。




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2011年7月23日土曜日

集成材シェルフ

去年納めさせてもらったものの追加受注。本当に有難いです。

3月までうちの子たちもお世話になっていたおひさま保育園



パイン集成材、オイルフィニッシュ。

パインとはいえ、さすがに無垢材、キレイだ。
そして子どもに近い家具ならば、やはり柔らかいパインは適当だと思う。




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2011年7月22日金曜日

七輪

午前中、打ち合わせのため外出していて。

午後に工場に帰ったら、僕の作業台に何か袋が。


なんだろと思ったら、木工キャンプで知り合った東京のデザイナーさん。そういえば七輪作ってるなんて言ってたなと思い出し、開けてみると。




わあ、なんだこれ、すごいラブリー。

なんでも土を練ったりこねたり、ろくろや金型を使わない、「切り出し七輪」というものだそう。
能登半島で採掘された珪藻土の塊を、ノミでほぼ手彫りで作るらしい。そして焼き上げたものがこれ。

この愛らしい形も良いが、持って見てまた驚く。
とても軽く、柔らかい感じ。そして独特のピンクっぽい色合いがたまらない。


またこの周辺のものも充実していて。
袋や、説明のファイルがついていたり。



僕はもう、木工しかできなくて、こういう周りまで詰められないのがいつももどかしいのに。


そして確かに、これは木の簡素なテーブルで、のんびり使うシーンが目に浮かぶ。

俄然ワクワクしてしまう僕、一緒にお仕事させてもらいたくなってしまう。



ところでデザイナーさんは、千駄ヶ谷デザインオフィスの金子さん。

しかしいろいろなものづくりがあるものだ。


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2011年7月21日木曜日

アテネファーム

午前中に、旭川のショップHOMESさんと打ち合わせ。
オーナーの前田さんは、昨年の旭川のコンペで審査員をしていただいていて、その時にお会いしたのが初めて。その人柄が明るくて楽しくて、いつか一緒にお仕事したいなと思っていたのが実現した。
しかし一発目はあまり納期無い感じ、がんばろう。



午後からは、とうとう取り付けに。
やっぱり現場は体力いるなと実感。そいえば昨日から、バドミントンサークルに参加。
体力つくかな。




ところで、とてもうれしいことが。
以前、ホームページを見て問い合わせ頂いた方がいて。

下川の農家ですとお聞きしていたのだが、ある日突然、メッセージとともにトマトを送って頂いた。


まだお会いしたことも、家具を製作させていただいたこともないのに。
応援のメッセージを添えてもらい、感激してしまう。

そもそも、一生懸命ブログなんて続けていても、読んでくれている人がいるのかもよくわからない。
でもこうやって応援してくれている人がどこかにいるんだとわかると、本当に励みになる。


ちなみに送ってくれた方は、下川町のアテネファームさん。

ものづくりはみんな一緒。農業も工芸も。
心ある人が作っているもの、良いに決まっている。

ちなみに一箱送って頂いたのだが、わずか一日でほとんど食べてしまった。


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2011年7月20日水曜日

HOUJI CHAIR 改良

HOUJIを改良した。といっても以前のとは違うバージョンという見かた。


この椅子。
自分でも気に入っているのだが、やや女性的な面取りであり、よりシャープで男性的にしてみた。


直線的な要素でラインを再構成。


背と背脚の納まりを丸くするのではなく、削ぎ落す。


比べてみる。


横の幕板も調整。

座は、新タイプはフラットに。









ところで、かなりマニアックな話。
この2脚は、後ろ足の付き方が違う。

この椅子は、座が後ろに向かって狭くなっている。
旧タイプは、二本の後ろ足が並行。つまり、幕板と脚が折れて接合。

すると、背が作りやすい。



上端と下端の長さが同じ、つまり直角。



新タイプは、幕板と背脚が真っ直ぐ接合。つまり、座が後ろに向かって狭くなるのと同じ勾配で、後脚も内側に傾いている。


これだと、幕板のほぞ加工が容易。
しかし、背が難しくなる。



上端と下端で4ミリほど長さが違う。つまり直角ではない。

背は、ブロックのうちに仕口加工してから削り出している。その仕口の接合面を想像してほしい。
後ろ足は、後ろに向かって勾配している。そのうえ、上下方向にもわずかに傾斜が。

機械は基本的に、並行または直角に加工するのも。このように2面に角度がつくと加工は困難、というか大きな手間となる。



ちなみに、二本の後脚が並行だと、上から下までずっと並行。当然だけど。
内側に傾斜があると、平面図で見たときに脚先がより後ろに描かれることからわかるように、二本の後脚は下すぼみになる。


加工性の良さを、幕板に求めるか背に求めるか。その結果、微妙な影響があちこちに出る。


こんな簡単なフォルムの椅子で、考えることは沢山。
椅子は難しいし、だから本当に面白い。








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2011年7月19日火曜日

スライド丁番

しばらく止めていたものの金具付け。


扉を付けて。

引き手をつけて。

引き手、じつはかなり検討した。
いいと思えるものが本当に無い。カタログ見ても質感などが全然わからない。しかも、産地旭川のくせにサンプルを見ることができるところがない。
しょうがないから、各社金物屋のカタログをじっくり何度も何度も眺めて、それから、これはと思うものを一つずつ発注。

金物って、実は結構高価。

届いたものをチェックすると、なんか嘘くさくピカピカだったり、アンティークかってほど痛んでたり。
新品のくせにメッキがすでにはがれてるとか、角の面取りがイビツだったり。

どうなのって、いちおう商社に聞いてみたら、面白い返答。
「品質言うなら、OOOO(他社)とかにしたら」みたいな話だったそう。


うーん、同じ作り手としても困ったものだ。


そんな中採用したのがこれ。
質感が良くて、つかみやすい。指先でつまむだけは力が弱い人は一苦労。これは、人差し指と中指でしっかり挟める感じ。真鍮色もあって、そちらもかっこいい。次回使ってみようと思う。



さて、金物話のついでに。

スライド丁番。
これは大変便利な丁番で、多くの家具に使用されているはず。

最大の利点は、扉を吊った後に前後左右に動かして調整できること。

しかしメーカー各社いろいろあって。

今回から僕が使うのは、左側。

大抵の家具屋は、右側のような感じ。


一目でわかるけど、座金が全く違う。
そう、左側は、取り付けた後に金物が少しでも目立たないように考えられているのだ。

欠点は、扉に丁番本体と座金を装着した状態で、キャビネットに取りつけができないこと。
でもそれは、作り手の問題。

数年前、ドイツのケルンに国際家具見本市を視察に行った。日本と一番意識が違うと感じたのが、金物の納まりだ。かれらは少しでもその存在を小さく見えるように配慮しているように思えた。

そんなわけで、以後僕はこれを使っていく予定。
ちなみに、使っている特注屋は本当に少ないと思う。少なくとも旭川では。

なんせバラで買えないのだ。段ボール一箱300個でないと売ってくれないとのつれなさ。
腐るものではないとはいえ、早くも不良在庫化の危機。


ということで、扉もののオーダー待っています。



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2011年7月18日月曜日

AMCC 旭川木工コミュニティキャンプが開催され

7月14日から16まで、旭川木工キャンプが開催された。

ものつくりに関わる人たちが全国から集まり、自然を感じながら語りあおうという企画。

何をしようとか、何が目的とか。実行委員に名を連ねている僕も、うまく言えないけど。
でも沢山の人と出会えて、楽しくものつくりについて考えるなんて刺激的。

そして多くが、それぞれの分野のプロフェッショナル。学生さんにとってはクリエイティブな人たちに直接話を聞けるチャンス。それは同時に、可能性の塊である学生を旭川に呼び込むチャンスである。


参加者は、100名を超えていたのでは。





さて、昼間のツアーは大まかに2コース。
僕は、初参加の人たちのツアーに同行。今年からバスを借り切って。
残念ながら雨のスタート。まずは山田木材。


カンデハウス。




向かいのコサイン。


佐々木工芸。




工房アームズ。


匠工芸。


全て工場見学。旭川のメーカーで、工場見学不可ってところは聞いたことがない。
木工なんてのは、そもそも小手先で隠れてやるもんじゃない。
機械のない時代から、高度な家具が作られていたのに今更何を隠すのか。

旭川のモッコー野郎たちは、ある意味不器用に真っ直ぐものつくりを続けてきている。だからなにも隠さない強さがあると思う。




そして楽しみな交流会。





2日目。工芸センターにて。



勉強もします。


全員参加型のセミナー。
講師の話をグループになって共有する時間があったり。

平日だから仕方がないが、地元メンバーが少ないのが残念。



二日目交流会。楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。




さて、このキャンプ。大きな可能性があると思っている。
僕の夢の一つ、旭川をものつくりの大拠点にしたいというもの。ものつくり人達が集うあこがれの土地に。外から来てもらい、交流し、我々のものつくりを見て体験し、協働し、発信する。

日本だけではなく世界中から人が集まり、彼らが旭川を持ち帰って世界中に伝える。これが目指すべき国際化だ。
焦って我々が出ていく必要はない。この旭川という地域に全力を傾けて、産業と地域がしっかりと結びついた素晴らしい複合的に優れた地域に。魅力的な地域に。超ローカル主義こそが、世界市場で戦う武器になるはずだ。




なんにしても、先の事を考えると楽しいことばかりである。