2013年3月31日日曜日

ようやく、春が近づいて。





一斉に溶けだして、水の音が。


雪の積もった屋根は、表層は雪のままだがそれが断熱材となる。
屋根のそばの下層は建物の熱で溶けて流れるが、軒先で凍って厚い氷、つららとなる。

軒先の氷盤で関止められた水は、屋根の表層、積った雪の下で溜まってプールのように。
雨なら大丈夫でも、これでは漏水しやすい。

これがすがもり。


そしてその氷も、暖かくなってくると次々と落下。
その厚さは10センチを超える。


厳しい冬の残骸が、あちこちに。



さて、この建物の間の日陰にたまった雪と氷、完全に無くなるのはいつになるだろう。








ビニールで耐え忍んだ事務所も、あと一カ月少しか。


さて、苦しくも楽しい設計。
沢山のアイディアを一つに絞り込んでいく。

本当は、全部作りたい、形にしたいのだけど!

2013年3月27日水曜日

インターンシップ

日々が飛ぶように過ぎていく。

製作が手一杯でなかなか設計や見積もりが進まず。

昼間に全力で製作を進めるも間に合わないので、夜間まで製作を。
その後の深夜のデスクワークがかなりハードで。

独立当初には想像できないくらい、本当に有難い限りだ。


週末には東京に出張も。
日曜の昼に羽田着、そのまま新築マンションの内覧会にお邪魔して採寸などしながらイメージを共有。
その後、現在お住まいのご自宅で打ち合わせを。
何と夜の11時近くまで。

お客さんは本当に大変なエネルギーを家具計画に注いで頂いた。
内覧会でくたくたになったであろう後に、ご自宅まで招待していただき手料理をご馳走になり。

もう感動的なほどであった。
本当に熱心に、家具をご検討だったのだ。


そして思う。
やはり僕に出来ることは、しっかりと細部まで気持ちを入れて製作することだと。
お客さんに会って、その方の事を想いながら製作できる家具屋が世の中に何人いるのだろうか。

幸せなことだ。

機会を頂いた事に感謝しながら、適性な価格で良い家具を精一杯製作して報いたい。




そしてこの出張の期間を含む一週間、インターンシップに新潟の女学生が訪ねてくれていた。

インターンシップの受け入れは常時しているので、自分の都合のよいだけ工場に滞在してもらい。
作業というよりは、見学主体でときどき手を借りるというスタイルだが。

だが、工場での作業自体はそれほど重要ではないから、あちこち行けるところを回るようにアドバイスし。

実際に走っている作り手たちを訪ねる旅は、学生にとって最高の刺激になるはずだ。





僕は、たった一人の人間の可能性を信じている。
たった一人の活動でも、業界を大改革できると思っている。

だから僕は、誰であれ、熱心な人には熱心に返す。



先日の島崎先生の講演。
その中で紹介された内村鑑三の「後世への最大遺物」を読んだ。


何を遺そうか。

まさに自分がよく思うこと。


昔は自分が作ったものをなんて思っていた。
IFDAの取り組みはまさにその一つ。

IFDAの図録に載るものを試作製作すれば、それは地場産業である旭川の歴史の中だけでもほぼ永遠に残るだろう。

しかし、自分一人での製作物なんてたかが知れている。


金を遺す気はまるっきり無いが、思いを遺すことはできると思っていた。

思いを遺す方法は、当然、若い人の心に訴えること。
「教育」とも言えるが。





何にしても、若い人が将来に夢を抱き、そして不安に思うことは当然のこと。

だけど、よく見極めて。
不安の正体は自分自身なんだ。


就職前の若者は不安だと思う。
しかし、もう職に就いている人も不安なんだ。

そして独立している人も。


少なくとも僕自身はとても不安だ。
僕に家具の依頼をしてくれる人はいるかな。
仕事の依頼はいつまで続くかな、本当に食っていけるかな。
あと何十年も、仕事を続けていけるかな。


そんな不安をしっかりと受け止めて。
逃げないで思考停止しないで、心を落とさないで冷やさないで。

しっかりと受け止めて、明るく楽しく一生懸命に取り組んで乗り越えるんだ。
きっとできると信じて。

自信の根拠は?
うるせぇ、自分を信じるだけだよ。
自分を信じるのに根拠なんていらないんだよ。


難しいのは情熱を持ち続けること。情熱を維持したまま走り続けること。
それには覚悟がいるけれど。


心を暖かく冷まさないように、楽しむ事を忘れないように。

難しい状況や苦しいことも沢山あるけれど、それを楽しもう。

簡単にすぐに上手くいってしまう事を一生かけて楽しめるだろうか。
簡単ではないことは幸せなことなんだよ。



景気がいいとか悪いとか。
男だからとか女だからとか。
親がどうだからとか学校がどうだからとか。
デザインがどうだからとか技術がどうだからとか。


辞めたり諦めたりする理由は沢山あるけどさ。



楽しく一生懸命に生きよう、きっと輝きだすから。



















2013年3月20日水曜日

一緒

まだ全体の写真はアップしていない新作のチェア。

中富良野に新しくオープンするオーベルジュのダイニング用として機会を頂き、設計してきた。

しかし本来は、かなりの本数がなければ開発の負担を転嫁できないため、椅子の新規デザインはお受けしていない。
今回は僕の新しいオリジナル商品の開発と兼ねさせて頂くということで挑戦させて頂いている。

そのそもそものきっかけというのは、展示会の度にカンデハウスの長原さんにもっと作り込んだ製品が見たいとリクエストを頂いていたからだ。
ぼくはこの人が本当に好きで、喜んでもらえるようなものを作って見てもらいたかったんだ。


昨年から開発をしていて。
秋には完成していた原寸モデルを見ていて、年明けには工場まであれ出来たかって来てくれて。


だから、今日はその完成した一時試作を持ってカンデハウスを訪ねて。


一緒に椅子を眺めて。もっと良くするために沢山の意見を頂いて。
そのあとショールームを歩いて製品を見ながら沢山の話を。
工場もずっと歩いて、また沢山の話を。

本当に楽しかった。


そしてこれは、僕自身の夢の実現を見ているようでもあった。
一線を退いてゆっくりと隠居しながらも、若い人たちとものづくりを楽しむ事。


二十歳くらいのころに同じ飛行機に乗り合わせた時も、隣の席に座らせてもらって東京までずっと話をしてくれた。

まだ就職したばかりの僕にも、本当に快く接してくれて、横柄な感じは全くなくて。




「そうだよ、ものづくりは楽しいんだよ、苦しいし貧乏もしなくちゃいけないけどな」



僕と一緒。
歳なんてそんなに関係無くて。
一緒に、ものづくりを楽しむことができるんだ。



2013年3月15日金曜日

新作チェア完成

新作のチェアが完成した。



塗装中。
全体は昼間にちゃんと撮影をしてから。


長かった。ここまで8カ月以上。

椅子の開発は楽しいけれど、身を削る思いで。

設計、スケールモデルの製作、原寸図の作成、原寸モデルの製作、プロトタイプの製作。
かかった時間は、もう莫大だから。

もちろん、開発中はいくら時間をかけても収入は無い。
だから、一生懸命他の仕事を頑張って、下請けの仕事も声をかけて頂いたら精一杯引きうけて。

そうしてお金を貯めて、全部試作に回す。貯めているのはお金なのか時間なのか。


だからここまで来たらとても嬉しいのだ。






2013年3月13日水曜日

三周年

3月10日、独立して3年が経った。


3年、早かったな。
本当にあっと言う間だったけど、確実に経験を積んだと思う。

多くの方々に励まされ、助けられ、見守られてここまで来れた。


妻の実家に住まわせてもらっていたが、3月にとうとう引っ越しもした。



思えば。
4年前の勤め時代、双子が生まれることになり、妻も仕事を辞めることになったが、何の手当てもつかないために経済破綻。子育ても相当ハードになることが予想されたため、妻の両親に全面的な援助をお願いした。

その半年後、会社を辞めて。

挫折を味わい、もう家具屋に勤めることに嫌気がして。

多くの離職者が思うように、僕も公務員への転職を検討した。


妻の父に、打ち明けた事がある。
公務員家系の義父は、むしろ勧めるかとも思っていたが、ただ、

「面白くないぞ」

と。


独立の方向に進路を向けたのはこの後だ。




下請けを求めず、依頼されて受けることにした事には全力で取り組んで。
金額ではなくて、自分が楽しめるかどうかを大事にしてきた。

広告も打たずに、しかし仕事が絶えることはなく。


独立前も今も、不安はある。
仕事は続くのか、受け入れてもらえるのか。

しかし、不安の正体は結局、自分自身であることを知っている。



飛躍するのは5年が過ぎてから。
もうあと2年しかないと思って、しっかり備えたい。

忙しくなっても、たとえお客さんに遅いと怒られても、自分のモノづくりを確かに。


もうじき、新メンバーも加入する。
僕にとっては、扱う素材が木材に加えて人材という、やりがいのある素材が加わる。


また一年、しっかりと家具作りを続けたい。
楽しむ事を忘れずに、挑戦する姿勢を崩さずに。

よろしくお願いします。











2013年3月5日火曜日

スプリングフェア終了

 
先日納めたデスク。
キャビネットをワゴンタイプに。
 

まだWEBにあげていない製品が沢山。

ホームページ本体は昨年夏ころから更新出来ていない。
ソフトの使い方を忘れてしまいそうだ。

もうずっと忙しい。昨年の夏以降は工場の引っ越しもあって。

いそいそな告知もできずじまい。


実は昨日までが家具センターのセールでした。
道内は一部大荒れだったが、沢山の来場があり。

お越しの皆さま、ありがとうございます。

ちょうどセールに重なってしまったのだが、しばらくメールでやり取りさせて頂いていた東京のお客さんには旭川までお越し頂いた。

本当に有難いことだ。
精一杯良いものを製作して応えたい。



セール中は同業の仲間にも会える機会で、それも楽しみの一つだ。


残念な事も。

知り合いがもうメーカーを退職していたり、退社が決まっていたり。

よく見かけるメンバーだったし、熱心な人だったはずだけに寂しく思う。


いろいろな面で、続ける事が難しい仕事ではあるから。
僕もメーカーに長く在籍したし、よくわかるようなこともあるけど。

多くの作り手がそう。
作り続けることが困難になったり、苦しい事が多くなって作る楽しさを上回ってしまったり。

そもそも楽しむ事を忘れてしまったり。
悲しい気持ちになるし、怒りも感じるけれど。


だけどやっぱり、家具作りや木工は文句なしに楽しいよ。



一生懸命作って展示して。
この椅子はもうちょっと背をこうした方がとか、ここは難しい加工をやったんだよとかって話して。


楽しめる自分を大事に、楽しんで作った大事な製品をお客さんに届けよう。
楽しんで作ってもらえれば、きっと何百年の木も喜ぶしお客さんも嬉しいよ。

2013年3月2日土曜日

待合室

札幌駅前のビル二階の病院の待合室。

そのテーブルだけ製作。
変形マメ型、スクエア型を数点。




白の塗りつぶし天板に、ナラ無垢材カラーオイル仕上げの脚。
天板から4ミリオフセットしてナラの幕板がまわり、丸脚がスッキリと。

眠気を抑えて札幌まで納品に。
ハイエースもとうとう20万キロ。

運転中に情緒不安定になって突如涙が出たりはいつもの事。
きっと体が疲れているから。
そしてすっきり心を整えて。


無垢と塗りつぶしの対比が面白い。
今度は天板も無垢に挑戦したい。