一昨年と昨年の技能五輪全国大会で、大会初の2連覇を果たしたものつくり大の山口くんが卒業し、gauzy calm worksの仲間に加わった。
そして今年8月にロシアで開催の国際大会に、日本王者として出場する。
間違いなく優秀、業界の宝を預かった。
彼は、大学3年で進路を検討して企業訪問を繰り返し、4年生の5月に自主的なインターンとして1ヶ月旭川に滞在し、工場に来ていた。
その期間中には、旭川木工キャンプ、家具組合の植樹際などイベントのイベントにも参加していた。
このあたりの就職も見据えた動きも早かった。
8月頃にはgcwに加入したい旨を伝えてくれていた。
そして11月の沖縄での全国大会で、ディフェンディングチャンピオンとして臨んで見事2連覇。本人の念願の国際大会、ロシア行きの切符を手に入れた。
さあ、そしてそれからはこちらも大変。
gcwから国際大会に選手を出すことになるため、多くの関係機関、多くの方々に協力をお願いして。
相当な負担を強いられることになるのは、何と言っても我が工場。
まずわかりやすいのは、選手は競技会まで訓練を重ねるが、それはつまり会社の売り上げを作る生産活動をほとんど行わないということ。
およそ半年間、あまり「仕事」をしないメンバーの給料分を負担しなければならない。
慢性的な時間外労働をしている中で、とにかく頭数が欲しい工場のメンバー。
謝って、お願いをする。
大きな負担をさせて申し訳ないが、挑戦させてあげさせて欲しい。
選手は注目され、華やかに見えるもの。
僕がかつて選手だった時。
職務を離れて訓練を重ねていた時、応援してくれて対外的に調子の良い社長、会社に戻れば工場長に丸投げで、競技会への取り組みを面白く思っていないことがはっきりとわかる工場長。理不尽な出来事の連発、苦しい日々、競技本番の頃にはすっかり疲弊しきっていた心身、わかりきった結果、挫折感。
そんな思いをさせるわけにはいかない。
しかし山口くん。
まだ2連覇前の1ヶ月間のインターンの時から彼の人柄は皆に受け入れられていた。
皆で支えて、精一杯競技に集中させてあげようという雰囲気になっている。
さすが負けん気は強いが、真面目で驕らず、心配りもできて愛嬌もある人柄。
このようなところも実力か。
会社、工場のメンバーたち、皆の支えがって挑戦できることを山口くんにはしっかり伝え、だからと言って気負うことも遠慮することもなく、そう言ったことも全部しっかりと受け止めて堂々と真っ直ぐに取り組んで欲しい。
さて、3月1日から旭川に来るも13日には卒業式と海外での技能交流会に参加で月末まで離旭。
4月1日に正式に入社するも、早くも8日から15日までオーストラリアで開催の国際大会のプレ大会に出場のため出国。
帰旭後は、訓練を受け入れていただいた旭川市工芸センターさんに訓練ブースの構築、そして22日からは他の種目の日本選手うあエキスパート、関係者を集めた派遣前研修で船橋に。
そうこうしているうちに、あっという間にゴールデンウィークに突入。
gcwは例年通り巨大連休。
山口くんは落ち着かないから練習をしたいというも、特にオーストラリアからの過酷なスケジュールで休日もなく過ごしていたので、カレンダーが黒字で書いてあるところは練習しても良いが、赤字のところはできるだけ休みなさいと伝えて。
選手は、休むことを後ろめたく感じてしまう。
とりあえず練習の場に独りで出てくるけど、なんだかモチベーションも上がらずに良い時間にならないことを僕は知っている。
今大会は過去にないほどの規模で訓練費用の補助をいただける。
この点は本当にありがたい(補助金なので、すべて終わった後に支給されるため、補填は9月か10月見込み。それまで繋ぐために銀行から借り入れは実行する)。
しかし、やはり会議で上京したり、訓練に立ちあったり、書類の作成や資料に目を通したり、様々な検討に頭をめぐらせたりで膨大な時間を投入する。
零細製造業の経営者が、本業に注ぐエネルギーを減らさざるをえない事ほどリスクの大きなことはない。
会社を守り、皆の気持ちをまとめて、選手の環境を整える。
やり甲斐があるなぁ。
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