2011年12月28日水曜日

無垢材と割れ

GAUZY CALM WORKSは、一部の商品で節のあるテーブルを製作している。

無垢の材というものは、吸放湿で大きく動くもの。幅方向には、寸法の1パーセントほどの変化が見込まれる。つまりダイニングテーブルだと、幅が900もあれば1センチほども動く可能性があるということ。
暖房で乾燥する冬と湿度の高い夏で伸び縮みを繰り返し、その過程で反ったり割れたりしてしまうことは宿命なのだ。
その中でも、節というものはそれを引き起こしやすい。だから、多くのメーカーは節を嫌う。

しかし、僕はその節が美しいと思う。
個性豊かで、天然、自然を感じる。まさに無垢材らしい力強さ、野性味がある。

そして僕は、それだけ自然を感じさせる材料にウレタン塗装などの樹脂でコーティングするような仕上げはしたくないんだ。
やはりそのような膜で覆ってしまった方が吸放湿を防げるが、それでは手に触れているものは木ではないではないか。
最近は木目調の建材が良くなってきて、節のあるものもかなりリアルになってきている。でもその質感は全く違う。その木目の絵の描いてある工業製品と、ウレタンを塗った天然木の差はもはや小さい。


やはり、オイルフィニッシュだと思うのだ。
膜をはらずに、木の吸放湿を妨げない。自然なツヤや心地よい肌触り。



そして節のある材、特にナラ材を使いたい理由がもう一つある。
均質な工業製品で満たされた今の世の中にあって、この美しい材を多くの人に伝えたいのだ。
そのナラ材は道産、北海道の木なんだ。
下手したらパレットや下地材に使われてしまうかもしれないが、テーブルの天板という最高の舞台でも立派に活躍できるんだ。
恐らくは100年を超える偉大な材たち。
僕は、もう夜中の2時3時で死にそうなくらいくたくたな時でも、オイルを塗った瞬間のみずみずしさが、まるで材が笑ったかのようで嬉しくなって拭き続けられるんだ。


節ありで、厚みを薄く見せる天板のオイル仕上げのテーブル。
家具センターの中でも一番割れや反りやすいテーブルと理解してもらっていいと思う。

だけど、材料使いや、素材感もスタイリングも最も優れていると自負している。


割れや反りを恐れたら、このような材は使えない。作り手と使い手の覚悟と、相互理解が絶対に必要なのだ。
僕も、普通の素直な材を使ってウレタンかけて売りっぱなしのほうが断然楽なのだけど。


だからご理解頂いた方のみに、僕は製品を提供させていただくことにしている。

しかし、割れや反りが出てしまった時には、その都度対処して長くお使いになる手助けをさせていただく。売って終わりだと考えていないし、家具を製作することだけが仕事だと思っていない。
その家具を使い続けることができるようにすることが僕のサービスで、メンテナンスフリーをうたって劣化していくのみの製品をただ提供するだけの現代的なものづくりと根本的に違う。



実は、この割れに関してお客さんから連絡をいただいた。
僕はしっかりと説明したつもりでいたのだが、
「こんなに割れるとは思わなかった」との言葉からもわかるが認識にズレがあったようだ。

今回のこのテーブルの状態は後日撮影させて頂いて、今後のお客さんたちに実例として見て頂こうと思っている。

どのように割れるか、どれくらい割れるかとかはもちろん僕にもわからないし、分かれば使わない。

しかししっかりとご理解に導けていなかったということは、やはり説明不足だったと思う。
納品の際に満足して喜んで頂いたことは間違いないと確信している。
そして、理解が不十分で割れが入ったことでとても悲しい思いをしたのだろうなと思うと、とても申し訳なく思う。
また、電話での僕の対応に、もしかしたら不愉快があったのかもしれないと思うとそちらも申し訳なく思う。
このことで、このテーブルから愛情を失くされては僕はあまりに悲しい。

精一杯対応させて頂いて、僕が心をこめて製作したテーブルを愛情を持って使い続けて頂きたいと願う。




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