やっぱりカッコいい、惚れ惚れする。
デザイナーはmonokraftの清水さん。人柄も素晴らしく、アコガれる。
なんだかとてもうれしくて、単発で一脚だけの椅子の製作は採算面で非常に厳しいのだが(たぶん工房レベルではどこも受けないと思う)、製作させてもらうことにした。しかも納品先が、故郷茅ケ崎ということで俄然ヤル気が出たのだ。
サイドシルエットも美しい。
平面を立ち上げて、立体を想像するというデザインプロセスは僕も共感する。
この背脚と背、肘のジョイントは製作は至難だ。フレームは細いし、角度は一方向だけではないし。仕口加工はギリギリを攻めていく感じ。キンキンに気持ちが集中していく。
内側から見たところ。我ながらシビれる。
この前足と肘の造形も、一筋縄ではいかない。
それぞれの元から、肘の先に向かって角の面取りが大きくなっていく。つまり、全体のシャープ感を保つために面取りは小さめなのだが、座ってさわる肘の先は手にやさしいようにしているのだ。
設計者の、使用者への思いやりが感じられる。
しかし話は簡単だが、製作サイドは大変だ。
機械加工では、決まった径の刃物が移動して切削する、つまり、真っ直ぐに同じアールしか取れないのだ。徐々に径を大きくするためには、機械加工ができない。
ということは、手加工しかない。
面の大きさの墨をして小鉋で削り、サンドペーパーで均す。
座は薄い引き板を3枚で。板がしなって柔らかい。
実はこの座も、いろいろ仕込みがあってすぐには終わらない。丸一日くらいは時間を要する。
昨日は仲間が4組くらい工場に来たが、椅子、しかも特注で椅子をやっている人はいない。
椅子作りは本当に苦労が多いし、身入りが少ないから、この楽しさを味わっているのは産地旭川といえども多くはない。
だから、こうやって椅子の依頼を受けること、しかも優れたデザイナーの図面に向き合って製作させてもらえること自体、大変に幸せなことだと思う。